開催報告 2016北海道講演ツアー
北海道講演会ツアーは7月9日から12日まで。前週ほどではないが、天気はまずまずだった。
遠くに行く時は休日を使い、ギリギリまで外来をする。
重症の方の医療連携の確認も必要。
とにかく東京行きの特急に飛び乗るとホッとして、ボーとする。
私の北海道講演ツアーは、いつもここから始まる。高橋夫妻の協力とサポートなしには成し遂げられない。ばらのお家は幼児とママさんたちへの支援だけではなく、ユニークな人たち、芸ある人たち、明るく元気な人たち、悩める子羊(笑)音楽家、評論家、作家、たくさんの人たちが集まる場所。中にはいつも心地よい風と美味しい料理の香りが漂う。
9日夜は札幌の薔薇のお家で講話会。
いつもの方も多い。皆さん、何度でも聞いてくださる。ありがたい。
今回は絵本作家の内田麟太郎さんとも親しい長野ヒデ子さんとお会いした。
たくさんの楽しい絵を描いている長野さん。
筋が通って、お主できるな!という感じの女性。
知り合いになれて嬉しい。これも高橋さんのおかげ。高橋さんという基地が
あって、私の北海道ツアーは可能になっている。
翌日は小樽の先、余市の近くの古平へ。
本間さんという小柄だけど、強く優しいエネルギーに溢れた女性が地域での豊かな看取りの実践を広げている。
7日にお亡くなりになった永六輔さんの話も伝えた。
大往生に至る永さんの大いなる準備の話を。
本間さんのお仲間が講演会を支えている。ビデオメッセージも楽しい。
参加者たちも、自分や家族や友人を見つけて声をあげて盛り上がった。
その日は海沿いの漁師の宿に泊まった。
海の幸をいただく。どれも美味しい。見たことのないお魚が多い。
私が住んでいるのは山があっても山梨県だもの(笑)
11日、積丹半島の先の神威カムイ岬に連れて行ってもらう。
昔は女人禁制の聖なる場所という。
この時だけ太陽が出る。
シャコタンブルーという美しいブルーの海が空に映える。
風が心地よい。深呼吸する。肩こりが軽くなった感じだ。
12日には旭川へ移動。
主催の旭川青年大学は歴史ある文化活動で永六輔さんはこれまで7回講演なさっている。
旭川は大好きだとよく私にもおっしゃっていた。
事務局の今泉さんもよく頑張っているよ、と。かすべ、エイという名前の居酒屋も気にいっていた。
旭川へは二回ご一緒した。今回もご一緒したかった。
永さんと知り合って20年近く。7日にお亡くなりになったばかりで思い出というには早すぎるけれどみなさんにいかに大往生だったか、そのためにどんな準備をなさってきたかをお伝えした。
見事な最期に、言葉は言い尽くせない。
私たちの通信手段はハガキだった。もうハガキを読んでもらえないと思うと悲しい。ご遺族には申し訳ないけれど、しばらくハガキをお出ししてもいいだろうか?
永さんへ。
昨日もこんなことがあったんですよ、永さん。
永さんのお宅に親しい方々が弔問に訪れていると聞きました。
山梨の新盆では、かわいいデラ葡萄をお客様に出すんですよ。
山梨の人は最近の見事な葡萄より、このデラ葡萄と甲州葡萄が素朴で大好き。最近は生産量が減っています。
今、関わっている末期癌のおばあちゃまは、デラ葡萄農家。
最近まで農園で働いていました。働き者。
私は永さん宅へ送りたい、とお願いしました。この方が丹精込めて育てたデラなら間違いないと確信したから。
往診すると、この暑さの中、農園にでて、自分の目で確かめて箱に詰めてきました!とニッコリ笑いました。永さんのためだもの、と。
申し訳ないけれど、嬉しかったのも事実。すごい患者さんでしょう?
私が、患者さんが自分の力を出すのに惜しみなく応援する医者であることを知っている永さんなら、納得してくださいますよね。
退院したての永さんを福島までお連れしましたもの。
このおばあちゃまはきっと大往生だと思います。
私たちも最大限、応援します。
このおばあちゃまの葡萄食べていただきたかった!
この話をお伝えしたかった。
永さんはもうこちらにはいっらしゃらないと、思うとたまらなく寂しい。
内藤いづみ