自分をみつめる もうひとりの自分
『自分をみつめる もうひとりの自分』 柳田邦男 著(佼成出版)
この本には、柳田さんが長年撮った雲の写真が挿入されている。
ハンドブックらしい、軽くて持ちやすい本。素敵な和風テイストの装丁。
でも、中身は濃くて、苦しい人、悩む人の心の芯にストンと入ってくる言葉に溢れている。読んでいて、私の心が何度か揺れて、深く頷く自分がいた。
35年前、私の初めての在宅ホスピスケアの思い出が蘇った。
夜の病室で28歳の私は24歳の末期がんの女性患者に尋ねたのだった。
「あなた、今何を一番したい?」
彼女の答えは「家に帰りたい」だった。その思いを遂げることに尽くしたあの頃。
同じ言葉を40ページに見つけた。
本当にこれが、ホスピスの心だと改めて思った。
この本を皆さんにおすすめします。