在宅ホスピスを基に幸せの作り方を紹介
在宅ホスピス医の内藤いづみさん(甲府・ふじ内科クリニック)が、十三の〝幸せのもと″を集めた大人のための絵本「しあわせの13粒」(1000円、コシカ発行)を出版した。在宅ホスピスにかかわって二十年あまりの内藤さんが、いのちと向き合いながら学んだことなどを踏まえ、どうすれば幸せになれるかをまとめた絵本。内藤さんは「絵本は在宅ホスピスの中で『笑顔でさよならを』という活動を行ってきた一つの到達点。患者さんらから教えてもらったことを、多くの人に伝えたい」と話している。
人の幸せとは比べない、人のせいにはしない、欲張らない。「しあわせの13粒」には、内藤さんが集めた幸せを作る方法が十三の項目に分かれて紹介されている。「いのちの最期にかかわり、『いのちとは希望の力に生かされている』ということに気付くようになった。幸せを作る力は私たち自身に与えられている。不安や窮屈さ、困難さを感じることが多いこの時代に、幸せになることは実は本人次第で、とても簡単だ、というメッセージを込めた」と内藤さん。これまでの生と死をテーマにした著書とは異なり、「幸せになりたい大人のためのテキスト」として活用してほしいと願っている。
絵本の題名は、大みそかの夜に翌年の十二カ月の幸せを祈って袋に詰めた十二粒のブドウを食べるスペインの習わしからヒントを得たもの。袋の中に一つだけ十三粒入っているものがあり、それをもらった人はラッキーな人とされることにちなんで「自分の幸せプラス周りの人の幸せを願って付けた」という。
絵はイラストレーターまつおかさわこさん(兵庫県尼崎市)が担当。背骨や関節などが硬直して次第に動かなくなる強直性脊椎(せきつい)炎を発症し、闘病生活を送りながら創作活動を続けるまつおかさんの切り絵は、十三の項目に合わせて作ったオリジナル。内藤さんは「痛みと共に生きながら、いつも周りに幸せのおすそ分けをしているまつおかさんのアートもぜひ楽しんでほしい」と話している。
絵本「しあわせの13粒」の出版を記念したイラストレーターまつおかさわこさんの原画展が28日から3月8日まで、甲府市丸の内1丁目のコシカで開かれる。
2月28日は午後2時からオープニングイベントとして、内藤いづみさんと、まつおかさんによるトークショーを同所で開く。定員40人。入場無料。
問い合わせ ふじ内科クリニック 電話055(252)5150。
2009年2月12日 山梨日々新聞より抜粋