開催報告 第8回ホスピス学校「こころの折れない生き方」
第八回「こころの折れない生き方」、京都から心療内科の本流のトップ 中井吉英先生をお招きした。
医学部の学生時代、心を置き去りにした、体、臓器の主体の勉強に悩んでいた私に母が渡してくれたのが、心療内科の創始者池見医師の本だった。
心と体は密接につながっている。
そのメッセージは40年前の私の胸にストンと届いた。
池見先生は九州大学だった。わたしはまず体の医学の臨床を学ぼうと東京で一番忙しい病院での仕事にチャレンジした。
そして東京の富豪からホームレスまで診療するその大病院で、病人の一番の悲劇は孤独だと痛感した。
特にがん患者へのケアは足りないものが大きかった。
孤独と痛みへ手を差し伸べられれば、どんな人でも幸せに生き抜くことができるはずだ。そう若き研修医の私は生意気にも考えた。心療内科への興味を抱えたまま、私はホスピスを学ぶ旅に出た~ こうして、旅の途中、池見先生の高弟の中井先生と並んでお話しできた幸せをかみしめている。
講演の中で中井先生は、夢をもつ、という処方箋を示してくださった。私がこうして中井先生と出会えたのは、夢の実現の一つであろう。
心は折れそうになる、折れる時もある。しかしその心に向かいあった時、人生の試練がポジティブな挑戦になり、自分の大切なものへの気づきになり、生き直す、生き返るリボーンの瞬間へと昇華するかもしれない、折れたときこそ、夢の実現に結びついていく時なのだ。
静かにしかし力強く中井先生は伝えてくださった。。
☆当日は北海道古平から新潟市から、参加してくださる友人がいました。そしてホスピス学校の運営に協力してくれる仲間たちに心より感謝します。私は孤独ではない。私は本当に幸せ者なんです。
内藤いづみ
参加者の感想
中井先生は個人的な体験をオープンに語ってくださいました。そしてご自身がこれまでに学び得た真理について、謙虚に穏やかに語りかけてくださり、そのお人柄とメッセージが自然に私の中に入ってきました。
中井先生の講演で私の中に届いた言葉をノートしておきます。
「体の声、心の声を聴くのは大事。気づきのポイント。味おうてみて下さい。」
食べる、眠る、大便、小便、息を整えるなど、調身の大切ともおっしゃっていました。
また、米国のカリフォルニア大のブレスロー教授の研究結果で、7つの健康習慣(1980)についても紹介がありました。
1.朝食を食べる
2.間食をしない
3.飲酒は適量を守る
4.喫煙をしない
5.定期的に運動をする
6.1日7-8時間の睡眠を
7.適正体重を維持する
今の自分は日頃の日常生活でいくつ実践しているだろうと、振り返ることができました。したいけれど出来ない理由を掘り下げていくと、自分への気づきが深まると感じます。
また、調身は子育てにおいても大切にしたいと思いました。
「人は個々の人生の意味がある。物語がある。自分にとり否定的なことが実は重要な出来事。意味のある人生を生き抜くには、心が折れるという体験が必要になる。」
最近、息子のことでショッキングな出来事を体験しました。その出来事をこの視点で振り返ると、何気ない日常や家族や仲間との絆に感謝することができました。そして人生で大切なものが何かを見いだすことができました。
中井先生のお話を聴いて、一見悲劇に思えた出来事が今は天からのギフトに感じています。
「優ゆう(良寛)何も急がず静かにゆったり落ち着いて、“今ここに”生きている時を大事にする。あくせくではなく、余裕を持って。」
この言葉は、6月1日から在宅医療という未知の分野に転職する私にとり、また育児においても深呼吸して地に足をつけるためのアファメーションにしたいと思いました。
実りの豊かな時間をありがとうございました。
内藤先生、ピーターさん、スタッフの皆さんのご親切、細やかなご配慮に心より感謝します。