「最後は信仰が支えてくれる」~内藤いづみさんが緩和ケア語る
本願寺新報2015年2月10日より
社会で注目される課題や問題などについて専門家に語ってもらう「もんぼう講演会」が1月18日、本山・聞法会館で開かれた。
今回は「緩和ケア」をテーマにし、在宅ホスピス医で山梨県甲府市のふじ内科クリニック院長・内藤いづみさんが「寄り添う力、旅立つ力-在宅ホスピス医が学んだこと」と題して講演した。
「家に帰りたい」という23歳女性患者との出会いから在宅ホスピス医を始めた内藤さん。多くの患者を看取ってきた30年を振り返りながら、「在宅で看取る中でいろんなことがあっても、最後は家族が一つになり、『ありがとう』と言って亡くなっていく患者さんを見てきた。在宅で看取るために一番必要なのは、本人の決意と、家族が勇気をもって死んでいく人のそばにいされるかどうかという決意。その上で、在宅ケアの専門家、連携を取ってくれる病院があれば、人生の最終章を愛する人と一緒に家で過ごすことができると思う」と語った。
また、「死を宣告され、人生で一番つらい時に自分を支えるものは何かということを見直していただきたい。私は宗教家ではないが、最後はそれぞれの信仰が支えてくれると感じている」と話した。
この後、昭和大学医学部医学教育推進室の高宮有介医師(あそかビハーラ病院顧問)と内藤さんが対談(写真)。緩和ケアの、患者に向き合い寄り添っていく姿勢そのものが、医療の本流であると語り合った。
また、内藤さんは家族形態の変化に触れ、「20年前と全く違い、家族がそばで見ることは減っている。例えば、高齢者施設に入ったら、そこで縁のある人たちが『最後の家族』になる場合もある。そこを割り切る自覚も大事。これからの日本は『いのちのバトン』を渡すのが身内ではないという可能性もある。
だからこそ、今から『いのちのバトン』を渡す人を作ろう」と話した。