自分の人生に「合格点を」
2015年1月21日中外日報より
浄土真宗本願寺派本山本願寺の開法会館主催の講演会「寄り添う力、旅立つ力~在宅ホスピス医が学んだこと~」が18日、京都市下京区の同会館で開かれ、甲府市の在宅ホスピス医・内藤いづみ氏(58)が死を受容するための課題について解説した。
「死までの五つの課題」として
①今までを振り返り、自分を確認する
②これまでの自分を許す
③周囲の人々を許す
④「ありがとう」を言う
⑤最期は「さようなら」を言う
と説明した。
特に②について「これまで頑張ってきた。満点ではないが、合格点をつけていい」と考える大切さを強調。
また⑤に関して「『さようなら』も聞けずに残された人は『どうして逝ってしまったのか』と泣いている。もし人生の最期にそれを言える状況に置かれたら『さようなら』と言ってほしい」と語った。
他方、終末期医療の従事者は「患者の死ばかりを扱う」ため、精神的負担が大きいが、出産に思いをはせたり、関わることを通して「いのちが最初から最後までつながっている」と考えることもセルフケアの一助となると話した。
この他、ベルギーのブルージユ市に約700年前にあったホスピスを紹介。同市を訪れた際に現地の学芸員から「ホスピスを支えていたのは、当時のブルージュの繁栄。経済が豊かでないと福祉はできない。経済大国の日本なら世界トップクラスの看取りの医療が実現できるはず、と指摘された」とし、「それを聞いて頑張ろうと思った」と述べた。