内藤いづみ著書

改訂版「あした野原に出てみよう」発刊

『あした野原に出てみよう<在宅ホスピス医のノートから>』(内藤いづみ・著)が改訂版として再発行されます。

怖いもの知らずの私が在宅ホスピスケアを始めた二十年前にこの本をオフィスエムから出版することができました。その時の喜びを今も忘れません。
自分の本を出版することは幼い頃からの私の夢でした。その頃には気づかなかった若さゆえの大胆さや、傲慢さ、その後の学びや喜び、そして人生に味わいを加える苦しさや悲しみを改めて思い出しています。
三人の子供の子育てが、この本の出版の後に続きました。三人とも成長し、今は家から出て各々の人生の旅を始めています。二十年前には珍しかったホスピスケアも、現在は国の方針の後押しを受けて緩和ケアという分野に発展しています。社会の様子も変りました。
そして2011年3月11日の東日本大地震とその後の福島の原子力発電所の大災害は、今世紀を生きる私たち日本人に大きな楔を打ち込み、苦しむ人のために、どんな手助けができるのか、私たち日本人がいのちに向かい合う力を育てていけるのか、改めて問われていると思います。
ここまでホスピスケアの学びを続けてこられたのも、家族、友人、ご縁があって、出会えた患者さんと語家族の応援と、私の仕事を支えてくれるスタッフのおかげです。心より感謝しています。
再び大切な私の本「あした野原に出てみよう」の改訂版に取り組んで下さったオフィスエムの村石保さんに心より感謝申し上げます。
(あとがきより)

『あした野原に出てみよう<在宅ホスピス医のノートから>』(内藤いづみ・著)が改訂版として再発行することができた。
売り切れたら絶版にしてしまうのが昨今の出版界であるが、この本は著者にとっても編集者にとってもエポック的な本であった。
実に17年ぶりの改訂版であり、編集者冥利にも尽きる。
改訂版の装画は佐藤ななえさんに描いてもらった。これも編集者の直感である。彼女は見事に本の趣旨を捉えてくれた。装幀は石坂淳子さん。
改めて〝死〟とは何か? 〝いのち〟とは何か? を考える一助にしていただけたら幸いである。
(オフィスエム 村石編集長より)

読者より
作家、遠藤周作氏が生きていらしたら、絶対になさらないであろうはぐをいづみチャンには、なさったであろうと想像しています。
まさしく集大成ですね!改めて畏敬の念を表します。
そして日本の現場にホスピス医としての名は永遠に語り継がれる事でしょう。
偉業に値します。
P31「霊性」について語られている部分がありますが、この3つを包み込む努力をしている所=ホスピスなのだ!
なるほど、私をひきつけている所のものが、ここにあったのですね!!


あした野原~目を通させていただきました
あらためて“内藤いづみ”は、山梨が生んだor日本の医療の現実が生んだ傑作だと思いました。女医の友人より


17年前私は、ここに嫁いできました。看護師を続けながらも、色んな葛藤を抱えていた、その頃に出版された本なんですね。感慨深いです。
医療現場での葛藤が今の私を創りました。初心を忘れず、多くの方々の想いを紡いでいきながら、ホスピスを 続け、広めている内藤先生と出逢い、こうして今、ともにいられることに感謝します。
読み返しさせていただいて改めて、内藤先生の瑞々しい、そして柔らかな表現力と真摯な姿はこの本の頃から変わらず、そこに様々な深い深い経験が重なり、今も軸を持ちながら進んでいらっしゃるのだと感じました。
私も初心に帰った気持ちです。私は私なりの立場とやり方で、愛を持って進んでいきたいです。