人を好きになるってどういうこと?
(「やくしん」2013年8月号より)
この疑問を抱いている君は、いま、誰かを好きになっているんじゃないかな。私からもあなたに聞いてみたい。その子のことを想うとどんな気持ちになりますか?大勢の中でもつい探してしまう?そして、その子をすぐ見つけてしまう?
ひょっとすると、こんな気持ちかな。いつも一緒にいたい(でも恥ずかしくてそばにいけない)、困っていたら助けたい、その子の笑顔を見ると幸せになる……。
現代は、テレビ番組や映画などで大人の恋愛をあなたたちも目にしますね。ドラマで見る大人の恋愛って、すぐくっついてイチャイチャしているから、恥ずかしく思うかもしれない。もし君が「あの子を好き」、ということが級友にばれたら、はやし立てられて大変なことになるかもしれないね。
でも、「好き」という事実は何があっでも君の心から消えないでしょう?
この想いは本当に不思議な気持ち。自分がどんなにつらくても、その子には幸せになってほしいし、笑顔でいてほしい。それは、自分のことより他人のことのほうが大切と思える、心の成長のはじめの一歩なの。
私の尊敬する、キリスト教徒の佐藤初女さん(91歳)は、悩み苦しむ人びとにおいしい食事を差し出して心に寄り添うことをしています。その初女さんが信仰生活に入るきっかけになったのは、神父さんの「犠牲の伴わない奉仕はない」という言葉。自分が犠牲になっても、相手の幸せを望むということは、人間にしかできない貴く美しいはたらきなのです。だから、その子のことをずっと大切に想ってね。
一生のうちには片思いもあるかもしれないけれど、どうも、好きになる相手はいつも似ているようです。そして、魅かれるのは外見ではなくて中身です。
私もあるとき、映画館で『ハリー・ポッター』シリーズを観て、ハリーの強敵ヴォルデモート卿が画面に出た瞬間、心が踊りました。声も発していなければ、顔も体もゴムのような着ぐるみで包まれているのに、私には大好きな英国俳優だとすぐに分かりました。好きになるってそういうこと。
これからの人生で君もいろんな人を好きになると思うけれど、好きな人に出会うとすぐ分かるはず。心を澄ませて見てみるとみんな中身が似通っているものです。それを「魂が引き合う」というのだと思います。