命との向き合い方をつづる
2024年10月4日付山梨新報より
料理の味付けや、ちょうど良い状態を表す「いい塩梅」。命と向き合ういい塩梅とは何かを考える「いい塩梅でサバイバル」(風来社)が上梓された。
著者は、在宅ホスピスケアに長年取り組むふじ内科クリニック(甲府市緑が丘1)院長の内藤いづみさん(68)だ。
内藤さんは「二者択一を常に求められる現代こそ、〝いい塩梅〟の考え方が大事になる」と話す。
同書は、内藤さんが県内を中心とする約4000人の人生と向き合ってきた医師生活約40年間で、最も印象深い四つのエピソードを収録。男性患者との関わりから「いい塩梅」という考え方に気付かされた思い出や、患者らの最期と向き合い、その家族の心の成長を描く一方、医療施設で迎える最期の在り方に対する思いをつづっている。
また巻末には、内藤さんが講演会などで配布している「いい塩梅ノート」の簡易版が添えられている。
写真や好きな本、1日の過ごし方、病気になったときの治療方針などの項目を通して、過去・現在・未来について自身の思いを書き込んでいく形式で「終活ノートではなく、今をしっかり生きるためのワークショップとして取り組んでほしい」としている。
新型コロナウイルス感染症の影響によりデジタル化が一層進み、人と人、人と社会のつながり希薄になっていることを危惧する内藤さん。
タイトルに込めた思いについて「塩梅にはのびしろがある。(同書が)人間らしくサバイバルして生き抜いていくためのガイドブックになればうれしい」と語った。
1650円(税込み)。同クリニックのほか、柳正堂書店、まいまい堂オンラインショップなどで販売している。