エッセイ

命の移ろい

強風。霜。季節は移ろう。空は抜けるようなブルー。たった1日でコスモス畑の満開の花は枯れてしまった。

木と空の写真

でも、暑さを健気に乗り越えたクリスマスローズたちは息を吹き返したように寒気に新芽を伸ばしている。
花の写真
自然はバランスよく逞しく生き抜いている。

遠くの往診に出かけた。
行く途中、車中でミスターチルドレンの歌を聴いた。歌詞は意味深。
天頂バス」を聴くうちに、お宅に到着。

患者さんは安定していた。お茶を飲みながら、さっき聴いた曲の話しをした。
「ミスチルですね」80歳近い患者さんはさらりと言った。
案外、ファンかもしれない、と思った。

内藤いづみ

親しい間柄になっていると信じて、気が緩んだせいか、口が滑った。
「天頂バスが来たら乗っていいんですよ」本人も娘さんも柔らかく笑ってくださった。
「天国行きですね。幸せな感じ」と。

実は、最近この患者さんは時々天国へ行きそうな様子を見せるのです。