メディア出演情報

伝えたい「命は希望」 


2007年7月7日 産経新聞より抜粋
sankei070707_01.jpg
元県教育委員長で在宅ホスピス医の内藤いづみさん(51)が10冊目の著書となる「『いのち』の話がしたい」(佼成出版社、税別1200円を出版した。ノンフィクション作家の柳田邦男氏、JT生命誌研究館館長の中村桂子氏、作家の曽野綾子氏との「いのち」をめぐる対談をまとめたもので、内藤氏は「人間不信になりそうた時代だが、本を通じて人間は捨てたものじゃないという希望のメッセージを発信できれば」と語る。
著書は、内藤さんが「体制におもねらず、世相を斬る意見を発表している」と評する3氏との対談をまとめた。「今まですれ違うことはあっても、向き合って話したことがなかった」3氏が「ゆっくり時間を取って、相手を尊重しながら話してくれた」と感謝する。
「曽野さんは文学少女だった私のあこがれの作家。3人の中で一番緊張しました。柳田さんとは話が盛り上がって終わらず、まとめるのが大変でしたね」と楽しい裏話を明かす。
 在宅ホスピスを始めた20年前、内藤さんは周囲から異端の目で見られたそうだ。平成16年12月には山教組(山梨県教職員組合)の違法な選挙資金集め問題に揺れる県教育委員長に就任し、改革の必要性を訴え続けた。「私はこれまで怒ってきたことが多かった。今までの自分は、周囲の変人扱いの中で主張してきた」と振り返る。
 しかし、「怒りを表に出すと生きづらい。でも、生きづらさを恐れず意見を声にしてきた3人と対談したことで、そんな自分に一区切りついた」と話す。対談には、3氏の豊富な体験に、在宅ホスピスから得た内藤さんの経験が織り交ぜられている。3氏はそれぞれの現場で「いのち」と向き合い、過去から未来へつながる「いのちの輪」の中に自分がいることを実感している人たちだった。
タイトル「『いのち』の話がしたい」には「誰もが命の話をしたいと思っている。でもそれを受け止める大人がいない。いのちは希望だということを、若い人に伝えていかないといけない」との思いを込めた。
 「いのち」について本音で語り合った対談集は、命の終末期という、ともすれば暗いイメージがつきまとうテーマを扱いながら希望を訴えかける一冊となっている。