秋から冬へ
今日は寒かったですね。岩手の友人から、こたつの開始、とメールをもらいました。
帯広のいとこからは、初氷、と。
甲府も寒く、クリニックに初暖房を入れました。ほんわかと暖かくほっとしました。
旅立つ方が続いています。
グループホームで10年近く暮らした高齢の方は5月から、終末期の様子を見せていたので、夜はいつも出動する心構えと準備をして休みました。
夜中に運転予定のスタッフはずっとアルコール抜きでした。
命の不思議を見せてくださり、ゆっくりゆっくりと平和に静かに日々を重ねて今朝旅たちました。
グループホームのスタッフは大切にケアしてくださいました。
先週は、病院で入院中、急に具合が悪くなった癌の患者さんを、ご家族がどうしても家で看取りたいと希望なさいました。
入院していると、充分に面会できないからです。
おばあちゃんを大好きな孫さんたちも、会いたい気持ちを募らせている、とのことでした。
症状は厳しく、在宅緩和ケアのベテランの内藤先生に、ぜひ診てもらいたいとの依頼が急に舞い込んだのです。
様子を聞いただけで、状況が緊迫していることがわかりました。
たとえ私でも、お役に立てるか自信はありませんでした。
しかし、お引き受けし、退院してすぐに往診に向かいました。
苦しい中、ご本人は家に帰れたことの感謝を伝えてくださいました。
素晴らしい気力でした。
ここでは、医療的な細かいことは述べません。
病院で積極的な治療を担当してくださった医師たちは最善を尽くしてくださったはずです。一流の治療を受けていました。
しかし、患者さんの状況(いのち)をもう少し俯瞰的に診てくだされば、患者さんの苦しみは緩和されたはずでした。
積極的な治療と緩和ケアの哲学と実践があまりにかけ離れていました。
私は長く、患者さんの幸せのために、積極的な治療と緩和ケアがうまく連携をとって欲しいと発信してきました。
現実はまだまだです。
先進的な治療が開発され、進化するにつれ、そこに希望を見出す患者さんが増えて、その結果、平和に緩和ケアを受けて過ごす選択が狭まっているように思います。
私は緩和ケアの知恵を必死で絞りました。患者さんは瀕死なのですから。
この患者さんは少しだけ苦しみが和らぎ、身内と別れの言葉を交わすことができました。
私と出会ってから4時間で、昇天なさいました。
この患者さんは4時間です!みんながつらいです。
10年も関わってお亡くなりになる患者さんと違い、このような出会いは私にとっても大きな試練でした。
例えは、悪いかもしれませんが、大火事の家に飛び込み救出活動をする消防隊員に似ていないかとさえ、思いました。
私も、火傷を負い、傷つく?そんな体験に感じました。
皆さん、ぜひ、お元気な時に、色々いのちについて学んでください。
いい友や、支えてくれる看護者や、師匠に出会ったら、それは宝物ですよ。
内藤いづみ