その人らしい最期に寄り添う
「BONくらーじゅ」93号に掲載されたオンライン講演会の開催報告です。
新緑の山々を眺めながら中部横断道で山梨へ。2年越しの総会記念講演の収録に行ってきました。
甲府駅前には蔵が立ち並び、素敵な風景。名産のアツアツのほうとうを食べていざ!
講演会場は杉山理事が施設長を務める万寿の杜、地域にとけ込むシックな外観で、館内入ってすぐの程よいスペースの地域交流室で、収録は行われました。
在宅医の内藤いづみ先生、偶然施設のすぐ近くにお住まいで、自転車でお越し頂きました。
90分の講演は、時にユーモアを交えられ、先生の人柄を感じる講演となりました。今を生きる思いを書き留める「いい塩梅ノート」はお勧めです!講演の模様は会員限定、YouTubeで期間限定配信させて頂きました。
「その人らしい最期に寄り添う」講演を視聴して
私が勤務している施設がある藤枝市では行政と医療、介護の専門職の代表が集まり定期的に「医療・介護連携推進会議」を開催しています。そこでは「住み慣れた地域で最期まで」と看取りについて医療と介護の立場から意見交換を行っています。その会議に参加するようになってしばらくしてから内藤先生の情熱大陸を観て、番組が終了する頃にはAmazonで先生の本を購入しているほど先生の患者様と向き合う姿に感動をしました。
購入した「その人らしい最期に寄り添う」を読み終わった時にはもっと先生の話を聴きたいと思い、介護福祉士会総会の講演内容を決めるときに是非お願いしたいと伝えました。コロナの関係で延期されて、さらに収録に代わってしまい、すごく残念に思っていましたが今回YouTubeではありますが先生の話を最前列で視聴出来て本当にうれしかったです。
私は特養の介護職をしていますが自施設はショートステイも併設しているので数年前まではショートステイで相談員も兼務していました。その経験の中でショートステイの在宅サービスと特養に入所される施設サービスにおける看取りについて温度差を感じていました。
主治医や家族とのつながりが在宅では強く、施設では弱く、入所されている方の暮らしに疑問を感じています。特に看取りに関しては、加算ばかりが先行して、本来の看取りケアが見えなくなっている現状がありましたが、その課題に気づき、施設では看取りに関する検討会を毎月行っています。
その中で挙がった課題に、「絆を切らさない」という、本人と家族だけでなく、私たち職員と家族も常に情報共有が出来る関係作りの必要性に気づきました。家族とそのつながりがないと終末期の受け入れ(心の準備)が整わず、本人が望まない状況になる事もあります。
家族から介護を委ねられ利用者様に一番近い存在の介護職員がご本人の思いに寄り添えないことの悲しさを何度か経験しました。
また、利用者様だけでなく家族にも寄り添い、支える事が私たちには求められていると思います。
私たち施設職員もチームでそれぞれの役目を果たしていく事が「その人らしく・・」につながっていくと考えています。
先生がおっしゃった「私たちなりの道を作ってしまう」を今、変えようと努力している最中です。
利用者様との対話を大切にする職員は、観察力やアセスメントカが高くサインに気づきますが、それが出来る職員は数名しかいません。
現場の課題はたくさんあり、時間がかかるかもしれませんが、「その人らしく命を生ききる」支援が出来る介護職を育てていきたいと思っています。
最期をどこで(場所)迎えるかと同様に「誰と」ということも大切に施設での看取り介護を形にして、介護職という立場ではありますが、先生のように終末期に利用者様、家族に寄り添える施設になれるよう努力していきます。
(志太・榛原ブロック 理事 増田知佐子様のご感想)