開催報告 2010年10月16日 松江市立病院 ホスピス緩和ケア啓発市民公開講座
(松江市立病院安部睦美先生が書いてくださった報告文です)
秋晴れの、宍道湖の夕日が美しかった2010年10月16日、ホスピス緩和ケア週間の一つの事業として「私の生きるところ~笑顔そして緩和の輪~」と題して松江市立病院では市民公開講座を開催しました。
講師は柏木哲夫先生、内藤いづみ先生!!
日本のホスピス緩和ケアを背負っておられるお二人の先生方の講演ということで、心わくわく、でも失礼があっては・・・とスタッフはどきどき、私も両先生方と向かい合ってお話するのは初めて、とても緊張していましたが、いざ目の前にいらっしゃる先生方はやはり「ホスピス医」、こちらがリラックスできるような形での出会いを提供していただけました。
そして講演会がはじまり、柏木先生の「ホスピス・緩和ケアが目指すもの」、つづいて内藤先生の「「ありがとう」と「さようなら」がひとつになる時」の講演、休憩(癒しの時間)をはさんでお二人の対談(これが今回のビッグな企画でした)。
昨年の死の臨床研究会でお二人の対談を拝見し、ぜひ松江でも!との思いが通じて実現しました。
柏木先生はホスピス・緩和ケアの必要性をホスピスの語源から説明され、「CURE」と「CARE」のなかで「CARE」の大切さ、そして人それぞれ求めていることは異なり、その人に会った治療がありケアがあることを出会われた患者さんを通してお話しされました。
内藤先生は、お家で過ごす素晴らしさ、お家で過ごすことで得られる不思議さを話され、「家で過ごすと、なぜかそんなに痛み止めはいらないのよ・・」と話されてことが印象的でした。
「ありがとう」「さようなら」・・最後に話すことができれば最高ではないでしょうか?
しかし私たち医療者はそのような言葉を話す機会を奪っているのでは??と対談では会場に投げかけられていました。
さまざまな抗がん剤が出て、最後までがんと闘う、自分の最後のステージをどう生きるか?
考える余裕も与えられず、最期を迎える・・本当にそれでいいのでしょうか?
こう締めくくられたように私は感じています。
講演会のアンケートの中に「来週から治療が始まります。勇気が出ました」という感想がありました。
まさしく「ホスピス・緩和ケア」の本来の意味を理解していただけたこと、そしてこの講演会の目的を果たせたことをうれしく思い、お二人の講師の先生方にあらためて感謝です。
本当にありがとうございました。