メタボリック狂騒曲
メタボリック症侯群に対する国を挙げての強力な指導体制が四月から始まるようだ。特に大企業では、目標に到達しないとペナルティーとして多額の負担金を課せられるので、かなり厳しい保健指導になることが予想される。
高脂血症の指導もそうだが、年齢別ではない、ひとつの正常値で線を引かれ、運動や環境整備を長い目でみることなしで、内服薬服用に導かれる傾向に、私は疑問を持っていた。権威の言うことにすぐ服従せずにもう少し皆さんも、まず自分の頭でよく考えた方がいい。
先日、全国紙に尊敬する鎌田實先生を含む、専門家三人のてい談が載っていた。メタボの診断基準を考案した学会の先生が、
「いやあ、こんなに早く大々的に国が取り上げるとは想像していませんでした」
と些か困惑しているのも伺えるし、あとのふたりも「きちんと基準を出すのにはリサーチの数が足りない」・「指導を受けたグループも受けないグループも結果に差がない」などと発言。
また、大人の減量ブームが子供に影響を与え始めたのは現実で、育ち盛りの少女たちの過激なダイエットが増えるのも心配だ。
食事、運動、アルコール、タバコなど生活習慣を変えるのにには、大きな精神力と暖かい支えがいる。
「太っていると恐ろしい死の“四重奏”がおきますよ」などと脅かされても、無視して跳ね返してしまう人が多いだろう。
そうです。白状します。私も家の猫も太目です。生活習慣を変える妙案をどなたか教えて下さい。
内藤いづみ
2008年4月1日 神戸新聞「随想」より抜粋